北隆館

‐銅版画で辿る化石図鑑‐ アンモナイトと恐竜時代の生物

317点に及ぶ銅版画から成る日本最大のアンモナイト図鑑の誕生!
製品情報
ジャンル・特集 図鑑・辞典
著者/編集 福岡幸一(日本古生物学会会員・日本美術家連盟会員・全道美術協会会員)

定価 16,500円(本体15,000円+税)
発売日 2022.04.25
判 頁 B4判変型・上製・208頁
ISBN 9784832610576
概要

北海道は白亜紀後期の地層が連続的に分布する世界でも有数のアンモナイトの産出地だ。化石の継続的な採取が可能であり、保存状態の良好な地球の激変に対応した多種多様な属・種が続々と発見されている。著者は、環境に柔軟に適応し、多種多様に進化したアンモナイト特有の「フォルム」に惹かれ、銅版画の制作意欲に拍車をかけられたという。本書は、アンモナイトに魅せられた北海道在住の版画家の手になる渾身の化石図鑑である。「恐竜時代の生物編」には、各分野の研究者、古生物学者から寄稿された化石の解説文を掲載し、「アンモナイト分類編」には「超科・科・亜科・属・亜属」の解説をアンモナイト研究者が寄稿する。

「アンモナイト版画のテーマは『属を描き作品化すること』でした。制作するにあたってはアンモナイト専門の早川浩司博士(故人)からのアドバイスを受け止め、『分類上の属の位置づけと産出時代の文字を版に描き入れる事』に注力してきました。アンモナイトの魅力を表現する上で、本来の姿を伝えるために、欠けた部分をあえて『復元』する場合もありました。作品が標本的になりがちなので、ノジュール(化石を含む石)の形、化石の位置、学名の文字などの構図を考えることが画家としての楽しみとなりました。版画を制作していく過程で気づいたことは、銅版画が化石の表現手段としてとてもマッチングしているということです。銅版画技法であるエッチング、アクアチント、サルファチントのほか、メゾチント、ソフトグランドエッチングなど、表現の幅を増やすことで化石の世界をさらに広げ豊かにすることが出来たと思います。アンモナイトを単なる精密画ではなく、分類学的特徴を捉えた作品として描ききることが私の目標でした。版画制作にあたって、公的関係機関と多くの化石仲間からの多種多様な化石標本、しかも『完全な個体』を多数実見してきたことを基礎としたことで、作品制作に広範な知見を活かすことが出来たのです。ついに日本の白亜紀後期の属・亜属をほぼ網羅するという結果に辿りついたのでした」(福岡幸一「発刊に寄せて‐アンモナイト銅版画の試み‐」より)

「私が福岡さんの作品を知るようになったのは、今から十数年前のことである。その作品を見ていて感じたことは、福岡さんは、私たち研究者と同じように、化石を観察していることである。福岡さんは、観察しているだけではない。縁あって出会った化石を、描き、版画にすることによって、自分と化石との出会いの記録を化石のように版画に残しているのではないだろうか? そして、その記録を積み重ねることによって、それは地層のように、私たちの意識の中に積み重なっていく。福岡さんはアンモナイトだけではなく、ウミユリ類などの無脊椎動物も多数描いてきた。植物8種、魚類3種、恐竜(含む鳥類)6種と幅広い古生物を対象としてきた。福岡さんのライフワーク的な作品たちは、私たち人類と化石との出会いの記録であり、それはアート作品として再び地層のように次世代に継承されていくのである」(真鍋真「福岡幸一作品がつなぐアートとサイエンス」より) 

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【本書に寄稿された解説文】

「福岡幸一がつなぐアートとサイエンス」真鍋 真

(国立科学博物館・標本資料センター・コレクションディレクター)

「銚子産の化石の魅力」前田晴良(九州大学博物館 教授)

「白亜紀の植物」高橋賢一(夕張市役所)

「夕張市から見つかったリクガメ化石」平山 廉(早稲田大学国際教養学部 教授)

「羽幌産のワニ類化石」小林快次(北海道大学総合博物館 教授)

「海底温泉の化石」疋田吉識(中川町エコミュージアムセンター長)

「稚内産ペリカン類化石」真鍋 真

(国立科学博物館・標本資料センター・コレクションディレクター)

「ニッポノサウルス・サハリネンシス」小林快次(北海道大学総合博物館 教授)

【時代説明及び化石解説文】

相場大佑(三笠市立博物館)

疋田吉識(中川町エコミュージアムセンター長)

高橋賢一(夕張市役所)

辻野泰之(徳島県立博物館)

目次

発刊によせて アンモナイト銅板画の試み(福岡幸一)
自然史系博物館と科学博物館の紹介
ご協力いただいた国内の博物館
化石の概要と研究
化石研究者の足跡とアンモナイトの由来
国際年代層序表と生命の歴史
北海道地質測量日本蝦夷地質要略之図
北海道の衛生画像
北海道のアンモナイト産出地
本州のアンモナイト類の産出地
アンモナイトとの出会いと化石採取
化石クリーニングの醍醐味
本書に記載されている学名と用語解説について
本書図版の内容と読み方について

アンモナイトと恐竜字時代の生物‐目次
福岡幸一作品がつなぐアートとサイエンス
真鍋真(国立科学博物館・標本資料センター・コレクションディレクター)
Cretaceous period  白亜紀
Barremian age  バレミアン期/Aptian age  アプチアン期
Albian age  アルビアン期
Cenomanian  セノマニアン期
Turonian age  チューロニアン期
Coniacian age  コニアシアン期
Santonian age  サントニアン期
Campanian age  カンパニアン期
Maastrichtian age  マーストリヒチアン期
頭足類とアンモナイト亜綱
アンモナイト目
アンモナイトの体構造
アンモナイトの幼殻の構造とアンモナイト顎器
アンモナイト分類(図版)‐目次
アンモノイドの化石の魅力 前田晴良(九州大学総合研究博物館 教授)
フィロセラス亜目(図版)
ライマンコレクション‐日本初の研究標本‐
リトセラス亜目(図版)
アンモナイト亜目(図版)
アンキロセラス亜目(図版)
北海道産異常巻きアンモナイトの系統図(早川浩司2003私案)
銅版画の技法とアンモナイトの世界
作品リスト
本書に収録した化石図版と写真の分類上の総数
引用文献・参考文献
索引
著者略歴
あとがき

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