熱帯アジアのチョウ
編集:矢田 脩(九州大学名誉教授)
A5判 300頁 定価:本体4,600円+税
ISBN978-4-8326-0987-7
【本書の概要】(「はじめに」より)熱帯アジアは、全体として「生物多様性が高いうえに絶滅の危機に瀕している地域」“ホットスポット”に含まれている。その多様性の中心は熱帯雨林の昆虫類であるが、あまりにも未解明の種が多いため、熱帯林保全の方策が遅々として進まない。そこで、昆虫の中でも生物多様性の「指標グループ」としてチョウが大いに注目されている(中略)。中でも、もっとも基礎的で重要かつ緊急性が高いのが、種の分類目録(インベントリー)の作成、ならびにそのための国際ネットワークの構築である。(矢田 脩)
【本書の目次】
Ⅰ.熱帯アジアのチョウ-その多様性と保全-
1. 総論:熱帯アジアのチョウ-その出会いから保全ネットワークへ-(矢田 脩)
2. 生物多様性の保全への挑戦(R. I. Vane-Wright)
コラム:スリランカにおけるチョウ多様性の指標(代理物)としてのアゲハチョウ科
Ⅱ.多様性解明とモニタリング,分布拡大
1. 広東省石門台自然保護区におけるチョウ類の種多様性(黄 国華・李 密・王 敏)
付表:石門台自然保護区のチョウの種リストおよび調査区のチョウの豊富度
2. ジャワ島(インドネシア)におけるタテハチョウ類の目録作成のための調査(Djunijanti Peggie)
3. 絶滅に瀕するソテツ植物を脅かすクロマダラソテツシジミ(Yu-Feng Hsu)
Ⅲ.分類・形態,生物地理
1. 大英自然史博物館でなぜ東洋区のアオスジアゲハ属Graphiumを研究するのか?(Campbell R. Smith)
2. 固有種に着目したベトナム産チョウ類の生物地理(Alexander L. Monastyrskii)
3. 東南アジアのセセリチョウ(千葉秀幸)
4. メンタワイ群島のチョウ-マルバネシロチョウ属Ceporaの分類-(岩崎浩明)
5. マダラチョウ-微細構造による分類-(橋本 恵)
6. 比較形態学にもとづくチョウの分類学的研究-イチモンジチョウ族の雌雄交尾器にもとづく分類を例に-(大島康宏)
7. インドシナ半島のフタオチョウ属Charaxes(勝山礼一朗)
8. マネシアゲハ属Chilasaの分類学的再検討(馬田英典・矢田 脩・森中定治)
Ⅳ.地理的変異と種分化・ボルバキア,ピエリシン
1. 東アジアにおけるキチョウの地理的変異と種分化(加藤義臣)
2. 内部共生細菌ボルバキアとともに進化した東アジアのキチョウ(成田聡子)
3. トガリシロチョウ属Appiasにおけるピエリシン様活性の分布(小田切顕一)
Ⅴ.インベントリー調査とネットワークなど
1. サバ州タビンのチョウ相(中西明徳・Mariatti Mohamed)
2. ボルネオにおける森林劣化に伴うチョウ類多様性の変化(市岡孝朗)
3. 日本におけるチョウ目コレクション画像データベースの構築(神保宇嗣)
4.“幻の大蝶”ブータンシボリアゲハの謎に迫る(矢後勝也)
5. カザリシロチョウを追って-生物多様性から生命へ-(森中定治)
6. 中国広州および海南島におけるチョウのインベントリー調査(矢田 脩・小田切顕一・大島康宏・馬田英典・勝山礼一郎)
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