環境Eco選書3「絵かき虫の生物学」
編集:広渡俊哉(大阪府立大学大学院生命環境科学研究科)
A5判 248頁 定価:本体3,000円+税
ISBN978-4-8326-0723-1
(「はじめに」より)本書の第Ⅰ部では,絵かき虫がいかに多様かを分類群ごとに解説し,第Ⅱ部では,その潜葉習性,葉をめぐる争い,寄生蜂や寄主植物との相互作用など,さまざまな生態を扱った。また,第Ⅲ部では,絵かき虫の潜葉生活への適応,種分化,進化について解説した。本書には,典型的な絵かき虫の他に,例外的に絵かき虫になったものや,絵をかくのをやめてしまった絵かき虫が登場する。いずれも,植物や他の生物との相互作用の中で適応・進化したものである。このようにして人類よりもはるかに長い歴史を生き抜いた絵かき虫の生き様は,我々が生き延びるためのヒントを与えてくれるかもしれない。本書が,生物多様性の一端とその成り立ちについて理解する一助となれば幸いである。
【本書の目次】
●絵かき虫の生物学(序論)(広渡俊哉)
●I.絵かき虫の分類・多様性〔1.コウチュウの絵かき虫(沢田佳久);2.葉に潜るハエとその進化史(末吉昌宏);3.潜葉性をもつガ類の多様性(広渡俊哉);4.ハチの絵かき虫(原 秀穂)〕
●II.絵かき虫の生態〔1.チョッキリ類の産卵加工と潜葉性(沢田佳久);2.チビガ科の潜葉習性(小林茂樹);3.ヤナギ類に潜るコハモグリガ(小林茂樹);4.ハモグリガの卵塊サイズ:卵をいくつ産むべきか?(加賀田秀樹);5.潜葉虫の産卵場所選択:葉をめぐる幼虫間の争いを避ける(杉浦真治);6.潜葉虫の防衛と寄生蜂の寄主探索行動(綾部慈子);7.ハモグリバエ科野菜・花卉害虫の寄生蜂群集(小西和彦);8.絵かき虫は葉を緑に保ち,老化を防ぐ?-「緑の島」の形成と早期落葉の抑制-(佐藤宏明)〕
●III.絵かき虫の種分化・進化〔1.絵かき虫が描く絵の意味(山崎一夫);2.クルミホソガにおけるホストレース分化は種分化に寄与するのか?(大島一正);3.カンコノキを送粉するハナホソガ(川北 篤);4.潜葉生活への数奇なる適応(加藤 真)〕
●IV.参考資料〔資料1:本書に掲載された「絵かき虫」一覧(索引);資料2:ハモグリバエ類寄生蜂の検索表(小西和彦)〕
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